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氷鏡のプロジェクト1
前編はこちら
とりあえず、媚薬を空気中に散布する官能小説を書きたかった。
面白いかどうかは微妙です。
ではどうぞー


むかしむかし、この日本には水鏡という妖術使いがいた。その妖術使いは歴史書によれば陰陽師で名高い晴明によって倒されて晴明はそののちに式神の術を使い始めたという。
代わって現代ではその昔の妖術使いの水鏡の記憶を受け継ぐ生まれ変わりが産まれることになった。その生まれた人の名前は氷鏡(ひょうか)という。周りの友達からは“ひょう”と呼ばれていた。氷鏡は幼い頃から分身能力をもっていて分身同士の感覚共有や意識共有も得意だった。前世でさんざん悪いことをしたのが今になって生きたのかと生意気なことを氷鏡は考えていた。
氷鏡の父と母は旅行好きだったので氷鏡は幼い頃から日本中を父と母とともに旅した。行く先々で分身能力を悪用し全国の都道府県に自分の分身たちを残していった。その多くは東京にいる氷鏡の自宅に警察に連れ戻されたが、一部の氷鏡は記憶喪失を装ってその都道府県の所にいる養子の欲しい家庭に引き取られた。これは、氷鏡の作戦だったが案外うまくいって、氷鏡の人数は日本全国だけで200人を数えた。それぞれの家庭で多くの友達を作り現代について学び、その結果、氷鏡という個人の境界線はあいまいになった。それぞれの氷鏡が持つ知識を活用しそれぞれの家庭の金で氷鏡は大学に行った。高校までは、別々に勉強していたという氷鏡も多かったのだが、大学に入ってからは3,4人の氷鏡が常にそれぞれの大学にいてわざわざ東大まで来た氷鏡は30人になった。
氷鏡たちはみんな分身能力が使えたので、二つの用事が重なったときは分身して別々に行動したり自分の知識が活用できてないと思った氷鏡は氷鏡同士の金銭の貸し借りを帳簿につけて管理したりその結果出た利益をまた貸付けて儲けようとしていた。
一人の氷鏡は株の売り買いであっと言う間に一財産作って、200人の氷鏡達が一生で使う額の金を手にしてしまっていた。養子に出されていた先でそれぞれ氷鏡たちは戸籍を持っていたので、周りの人々からはよく似た他人がいっぱいいるようにしか見えなかっただろう。だがその間にも、着々と氷鏡がしたいことをするための計画はその片鱗を徐々に現していった。
もちろん、氷鏡自身のため毎晩のように場所を借り切って日頃のストレスを癒すための饗宴を催しそこでも、氷鏡は金を稼いでいた。その饗宴へ入るには氷鏡であることが参加条件だったが、氷鏡たちの饗宴の中にはこの世のありとあらゆる快楽が詰まっていた。ただ、後々のことを考えて常用性のあるものを氷鏡はあまり楽しまなかった。酒もほどほどにしタバコは吸わないし、ただ、身体を交わせる快楽に関しては氷鏡は貪欲だった。その響宴の場所ではどの氷鏡も服を脱いでいたし、あらゆる快楽の為の道具がそこで貸し出されていた。もちろん料金はとったが、その毎夜に開かれる饗宴はもちろん分身たちが行っていたし、帰りに体ごと帰ってくることなど必要ないので、饗宴が終わるとその場所は愛液その他もろもろの液体と、使われたいやらしい道具と少量の酒と雌の匂いで散々な状態になっていた。
だが次の日にはその饗宴の場所は綺麗に元通りになっていて次の日も、その次の日も氷鏡たちは饗宴を楽しんだ。

ある時、氷鏡が25歳になる頃に向けて氷鏡たちは自分たちが最高の快楽を味わっていないことに気づいた。なので、氷鏡たちは25歳の誕生日に向けてコネを使って地下1000メートルの場所に快楽の牢獄を作ろうとプロジェクトを進めた。氷鏡たちは金には困らなかったし、何よりこの世の誰も味わったことのない快楽というものにあこがれを持っていた。氷鏡はその妄想をしただけで興奮していたし、なによりこのプロジェクトは財力と権力と頭数を持っている自分にしかできないことだと、天狗になっていた。そこで使われたお金が日本国民のためになっていればと氷鏡は露ほども思わなかった。


 氷鏡は神経科学について知っている氷鏡の分身を呼び出して、建築技術に詳しい氷鏡の分身も呼び出した。人間がどの程度の薬なら死なないのか快楽を感じる適量はどのくらいか、どのくらいの範囲なら分身を作って氷鏡自身が牢獄から逃げないかということを氷鏡は冷酷に計算していった。結果地下1000メートルにエレベーターでつながる部屋を建設しその建物の中のあらゆる場所に体から排出される量と吸収される量を一定にした人体に快楽しか与えない濃度の媚薬を散布し続ける仕組みを作り上げた。この媚薬は日常生活でよく使われるものだが、24時間365日体に取り込み続けていれば倦怠感を引き起こすのに疑いはない。だが、興奮状態の快楽はほかの媚薬に比べてだんちがいだったし、その媚薬一択で楽園の建設を進めていった。トイレの場所は水を使うことはできなかったので宇宙船のように排せつ物を圧縮して外に出す方法にした。排泄を済ませれば自動でそれが行われる。飲み水は地下水を引いてくることにした。だが、ただ水を飲むだけでは面白くないので、水に適量のアルコールが含まれるようにした。これで、毎日お酒飲み放題である。水をワインに変える禁忌も現代の科学技術を持ってすればなんともない。
 地上にはモニタリングの設備を整え万が一、私が動けない場合でもほかのスタッフで常時監視ができる体制を作った。電気の配線はエレベーターについているしというか片道なので戻る必要もないことに気づいた。工事が終わったらコンクリで埋めるようにしよう。
 完璧な準備をして全員の分身の氷鏡を一箇所に集め楽しいビンゴ大会をした。一等賞が地下への片道切符なのだった。ビンゴ大会を楽しんでそれぞれ商品を持ち帰り浮かれ騒ぎが終わった頃、宇宙へ旅立つ宇宙飛行士のように一人の氷鏡は地下への旅を待ちわびていた。
「じゃあ、がんばってね、私は上でモニタリングしてるからー」
「オーケー、グッバイ」
と別れもそこそこに、氷鏡は地下への旅をし始めた。10分で地下までつく計算なので、氷鏡が部屋に入ったことを確認して、コンクリをエレベーターに流し込んだ。


 エレベーターで部屋についた氷鏡は自動ドアをくぐって、まず最初に、部屋の設備がちゃんと動いているかを確認した。
 その後、食料が十分にあることを確認し、ダンボールに200人分の性具があることも確認した。もちろんローションも潤沢にあるし、簡単に部屋の掃除ができる自動掃除機も完備されている。部屋に備えられている監視カメラに向かってOKのサインをしてとりあえず疲れを癒すために備え付けのソファーに座った。時刻は午後5時だった。他の氷鏡たちは電車に乗ったりタクシーに乗ったりでそれぞれの家やマンションに帰っていた。待ちきれずに電車やタクシーで隠れて陰部を触っている氷鏡もいて集中するとその快感が地下1000メートルの氷鏡にも伝わってきた。しばらくすると、部屋に常に供給される空気中の媚薬の成分が体の中に入ってくるのが分かってくる。息が荒くなり心臓の鼓動がいつもより早い。


 その頃、上のモニタールームでは企画発案者の氷鏡がプロデューサー席に座ってその様子を見ていた。継続的な快感にも値段をつけて他の氷鏡から巻き上げるつもりの氷鏡は投資家の氷鏡からリスクについて十分気を付けるように言われていたし、その通りにしていた。何も心配はないだろうと思っていたが、なんとなく不安だけはあった。モニタールームで地下にいる彼女のバイタルを調べられるよう監視カメラにAIをつないでいる。
 美優はこのモニタールームでのメディカルチームに属していた。もちろん私の親戚でもなければ、知り合いでもない。美優の採用理由は真面目なところがあるからだった。
「彼女のバイタルはどうなってるの? 」
「心拍数は上昇傾向です。体温も上昇中、呼吸数は平常時より少し多いくらいです。今のところ問題はないです」
「そう、美優ありがと。あっ、やっとかしら」
 モニターの中で、氷鏡はその体を増やしていった。カメラに収まらないくらい(ざっと100人くらいだろうか)に増えると手早く料理の準備をし始めた。料理ができた頃にはカメラに写るどの氷鏡も疲れていて、「今日は寝ちゃおうよ」と言い出す氷鏡もいた。


 氷鏡は料理を食べていた。他の氷鏡が食べる料理の味を感じながら、地上に居る氷鏡たちの料理の味も氷鏡には分かっていて媚薬からの興奮でよだれが止まらないでいた。牛乳が飲みたい(地下には牛乳はなかった)と思うと地上の氷鏡の一人が牛乳を飲んでくれて、そのありのままを私に送ってくれた。ありがとうと念を送るとどういたしましてと念が帰ってくる。だんだんそれぞれの氷鏡たちは正常な判断ができなくなっていて、時々スプーンを落とす氷鏡やよだれとともに鼻水や愛液を流したままの氷鏡も席にはいた。服が敏感な部分に触れるだけで変な声が出ている氷鏡もいる。感覚の共有はこのなかの氷鏡の誰に対してもできるので早速壊れている氷鏡も少なからずいた。逆にある氷鏡はどこからか来る倦怠感と吐き気に襲われてトイレに行って何度も食べたものを吐き出していた。イライラが収まらず壁を蹴飛ばす氷鏡もいた。
 なんかこの世の終わりに来てしまったのかとつまらない感想を抱く氷鏡は吐き気をこらえながら肉を食べていた。
 食事を食べ終わる頃には氷鏡たちはあるものは愛液と黄金水を垂れ流し、あるものはトイレに行って出てこなかった。そこでオナニーをしているのはわかったが・・・
「大変だなー」
と既に他人事の氷鏡は分身してさらに人数を全部で300人に増やした。動けない氷鏡に変わって食事の後片付けと床にあった零したり吐いたりして広がったりの汁で汚れた場所を自動掃除機できれいにした。倒れている氷鏡は部屋の隅に移して、早速オナニーを始めようとする。


 モニターにはすでに人間は写っていなかった。一時間かそこらで人間の理性というものは崩壊するのかとモニターの前の氷鏡は言葉を失っていた。ちょっとその倒れた氷鏡の体を感じるだけで何回分もの絶頂を味わうことが出来ると自分までもよだれがこぼれそうになっていた。すでに下の下着も変えないといけないほど濡れてしまっている。だがしかし、これは幸せなどというものとはちがうだろう。ただ純粋な快楽に雌の匂いと黄金水の匂いと愛液の匂いと氷鏡の汗の匂いが混じっているのが感じられる。急いで接続を切ったモニター前の氷鏡は疲れたのと夕食を取るのとオナニーするのでモニター前を離れた。氷鏡は神様は信じていなかったがさすがにこれを見るとそうも言っていられないと思った。


 地下の氷鏡は常時愛液がだらだらと出ていて、呼吸もろくにできない過呼吸の氷鏡もちらほらいた。氷菓の中の誰の頭を覗いてもやばい、やばいとまるで人間じゃないかのような答えが返ってくる。すでに氷鏡たちは快楽でトイレまで行けないか行ったとしても、どのトイレも氷鏡の力ではまったく開かずにトイレの前で耐えきれず漏らしてしまう氷鏡もいて、その度に別の氷鏡が漏れた愛液や黄金水の掃除をしていた。掃除機の性能が良かったのか掃除自体に時間はかからないのだが、精神的な被害は尋常ではなかった。その度に別の氷鏡は胃の中のものを吐き出し、それをまた別の氷鏡が綺麗にしていた。
 その間も変わらず媚薬は空気中に散布され壁を叩いていた氷鏡は手を真っ赤にして人語(じんご)ではない言葉を叫んでいた。
 ある程度時間が経つとその人語ではない言葉もなくなり氷鏡同士が互いにセックスするイメージだけが頭に浮かぶようになっていた。どこかの氷鏡が性具のダンボールを開けて、別の氷鏡がそれをみんなに配って回った。
私は私で、服が気持ち悪くて裸になっていたし、他の300人(その中でも動けるのは30人程度)に犯されないようにゾンビのような彼女たちから逃げ回っていた。もう正常に脳が働いていないのか他人のセックスを見るだけで快感を共有していてそれだけでイキそうになっていた。飲み水の水道はお酒の味がするのにみんながそれに群がって、キスをしながら口移しをしてそれだけでイっているようだし、お腹に入るだけダンボールに入ったままの生の食料を食い尽くしてしまおうとする氷鏡もいた。
なんかもう嫌になったと氷鏡は思い。舌を噛み切ろうとしたが数パーセントでも脳の中に残っていた生きたいという私がなぜか分身していて、部屋の中の氷鏡の数も一向に減らないでいた。死んだ氷鏡は動けなくなった氷鏡の隣に置いてそれも、屍姦者(ネクロフィリア)の氷鏡たちにかっさらわれていった。屍姦をする氷鏡たちは張型を死人の氷鏡に突き刺し「あああああ」と叫びながら絶頂している。
流石にお酒がないと無理だと思った当の氷鏡は水道に近づいてさっき見たときより数が減っていた氷鏡たちのなかに入って体のいろんな部位を触られながらも、水を飲んだ。あとは死にたての氷鏡の血を飲んで眠気が来るのを待った。時間は12時になっていた。


 地上のとある氷鏡の家地下で大変な状況であることを又聞きの又聞きの又聞きで知っていた。この氷鏡はいつもどおり毎夜開かれる饗宴から記憶だけを戻した自分の分身を呼びその氷鏡の記憶を彼女は楽しんでいた。秘部を他の仕事をしている氷鏡に舐められ陰唇を爪の先で触られるだけで体が熱くなるのを氷鏡自身が今されているかのように妄想して同じ刺激をコピーの体を使って再現していた。
 この氷鏡の時計の時刻は2時を指し氷鏡は徹夜で明日必要な資料の作成をしているのだった。もちろんパソコンで資料を作成してその合間に饗宴で快感をおやつにする。灯りを消すと氷鏡たちはベットに入った。
 次の朝、氷鏡は地下で死んだ氷鏡の記憶に触れ、たったそれだけで、何回分もの絶頂を経験し体を冷ますためにその後10回のオナニーをしなければならなかった。会社に迷惑をかけることになった。これが毎日続くとなると思うと氷鏡は憂鬱になった。


 朝、モニタールームのプロデューサーである氷鏡は夢の中で快楽に悶えていた。目を覚ました瞬間地下で死んだ氷鏡の絶頂が彼女を襲いその快感だけで14回程イった。すぐに今日の業務につかないといけない時間に成っていたが、氷鏡はオナニーをせずにはいられずに、その後も10回程度、自分を焦らしながらイった。分身してしたかったがその余裕もない。相変わらず地下では寝る間を惜しんでセックスが続いていたが、確認するには身支度をしてモニタールームに行かないといけなかった。


 朝起きると、私は周りで死んでいる氷鏡たちの快楽を全身に受けて、おかしな空想の中で、部屋にいる全員の氷鏡に身体を愛撫されているのではないかと思えるほど至高の快楽を感じた。絶対に自分の陰部には触れてはいけないと触れるようなことがあれば今日中には死んでしまうほど、鬼気迫る快楽だった。だが自分が死んだところで自分の身体はほかの氷鏡に生かされて続いていくのだから関係ないじゃないかと思考して、でも耐えて朝ごはんであるダンボールの中の食料の肉を食べようと氷鏡は食事の準備をした。


続き
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【 2017/11/21 21:12 】

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